『取捨選択の人間関係』の法則もっと練り込め!

2004年11月25日

“働く”ということを勘違いしてないか?

大学生の人気就職先には、毎年そのときの有名企業や話題の(メディアによく登場する)企業が並びます。
また、大学生に就職先選びの理由を聞くと、「ヤリガイがありそうだ」とか「社会貢献に積極的である」とか、曖昧なものでは「社風がいい」とか、そういったものが挙がります。

ところで、働く人にとって、「ヤリガイを感じる」、「自己実現する」という言葉はとても響きがいいものです。
今の仕事が好きになれない人は、その理由として、「ヤリガイを感じないから」、「自己実現ができそうにないから」ということを挙げるかもしれないし、逆に今の仕事が好きだという人は、「ヤリガイを感じるから」、「自己実現できているから」ということを理由に挙げるかもしれません。
じゃ、このヤリガイとか自己実現というものは一体どういうもので、どうやったら手に入れられるものなのでしょうか?


私の感覚では、この言葉をよく口にするのは、40代、50代の世代より、20代、30代の世代、つまり若い世代の人たちのような気がします。
私自身もそうでしたが、若いときは、夢や理想があり、経験が少ないだけに、自分の追い求めるものが自分の知らないところにあるはずだと思い込む傾向があるように思います。
それ自体は悪いことではなく、むしろ、夢や理想を追って動き回り、ときには壁にぶつかって痛い思いをしながら、たくさんのことを学んでいくことは人間の成長プロセスそのものなのです。

私は今40代です。
気持ちのうえではいまだに若いつもりでいますし、未熟な面がたくさんあります。
ただ、この年齢になって気づいたことがあります。
それは、「仕事のヤリガイや自己実現は、決して他人が与えてくれるものではない」ということです。
当たり前のことかもしれませんが、自分の思いは他人の思いとは違うのです。
極端な例ですが、仕事にヤリガイを感じたい人と仕事よりも私生活に生きがいを感じたい人では、価値観が違います。
こちらが仕事優先でバリバリ残業しているのに、仕事は適当にやって定時で帰宅するような同僚を見たら腹も立つことでしょう。
でも、それはしかたがないことなのです。

私の20代、30代を振り返ってみると、「ヤリガイ」、「自己実現」という言葉にとても敏感でした。
何せビジネス書をガンガン読む人間でしたから、目の前の現実より、“あるべき姿”ばかりを思い浮かべていました。
今反省することは、そういう思いを行動に移さず、いつも悪いのを他のせいにしていたことです。
そして、現実からいつも逃げることばかり考えていたことです。

若い頃は、どうしても雑用(?)のような仕事を担当させられます。
コピーとり、資料セッティング、手書きのワープロ化作業、宴会幹事、持ち運び等の肉体作業、お茶汲み、等々。
私も一通り経験しました。
もちろん、そのときは「ヤリガイを感じた」などというものからは程遠く、多くの人がそうであるように嫌々ながらやっていました。
しかし、なぜか、今になってみると、そういう経験は無駄でなかったような気がするのです。
一言でいえば、仕事というのは、必ず細々とした要素で成り立っているということです。
華々しい成果の裏には、たくさんの辛い裏方仕事もあり、そういうのがあってこそ仕事というのは完遂されるのです。

ヤリガイや自己実現を口にして現実から逃げている人は、「働く」ということに対して勘違いしているようでなりません。
なぜって、そこには、“自分のために働く”という視点だけしかないように思えるからです。
考えてもみてください。
多くの人は、働いて収入を得、それで生計を立てています。
その収入というのは、働けば自動的に得られるというものではなく、本質的には「お客さんから得ている」ものなのです。
ということは、お客さんが満足し、納得しなければ、あなたにお金を払ってくれないということなのです。

ヤリガイも自己実現も大切なことでしょう。
しかし、働くうえでもっとも大切なことは、「お客さんの視点に立ち、お客さんを満足させ、納得させる。お客さんの期待に応える」ということです。
相手が安月給で働いていようが、辛い思いをして長時間働いていようが、そんなことはお客さんにしてみればどうでもいいことなのです。
お客さんにとっては、自分が買った商品やサービスに満足、納得できるかがすべてなのです。
この視点で物事を考えることができなければ、仕事人としては半人前です。
仕事は、「自己満足よりも顧客満足のほうが大事」なのです。

実は私もよく勘違いする人間です。
例えば、立派なデータ分析を行い、見栄えのするパワーポイントの資料を作ってプレゼンをすれば、聴衆は即座に理解し納得してくれるものと思いがちです。
そういうスキルを持った自分には能力があるなどと思い込んだりします。
つまり、外見のかっこよさ、周囲の注目を浴びるようなことを重視してしまうわけです。
でも、これって間違いなのです。
へたをすると、「こいつはプレゼンがうまいだけの人間だな。現場の人間の苦労なんかわからない(わかろうともしない)人間かもしれない」という印象を与えてしまうことだってあるのです。

こんな勘違い人間の私ではありますが、一方で、人が嫌がるような仕事、役目をすすんで引き受けます。
例えば、多くの人は宴会の幹事役をやりたがりません。
なぜって、幹事という仕事は面倒くさいことが多いからです。
人によっては、職場で幹事になると、雑用を押し付けられたと思う人もいるでしょう。
私の経験からいうと、幹事はとても勉強になるし、その経験は後々役立つことばかりです。
いくつか挙げてみます。
1.集団をまとめるコーディネーション力がつく。
  これは、リーダーシップにもつながる。
2.出席者(お客さん)の満足度を意識して仕事ができるようになる。
3.企画力・演出力がつく。
4.交渉力がつく。
5.「出席者に感謝される→満足感を感じ、ヤリガイを感じる」という好循環になる。

いろいろ書きましたが、要するに、「ヤリガイ」や「自己実現」というのは他人が与えてくれるものではなく、自分自身で創り出していくものだということです。
そして、それは、どんなことからでもきっかけをつくれます。
教育制度の整った大企業や話題の企業に入社したからヤリガイや自己実現を手に入れられるわけではなく、幅広い仕事を担当し責任の重い仕事をしたいなら、注目度の低い企業や零細企業で働くほうがいいかもしれません。
今の仕事に不満を感じるなら、転職を経験してみることです。
何度か転職を経験してみれば、自分に何が足りなかったのか、やりたいことをするにはどうすればいいか、地についた考え方を持てるようになるでしょう。

起業ブームのせいか、起業を志す人も多いようですが、今成功しているように見えるベンチャー企業家も、それまでの道程では相当苦労しているはずです。
資金繰りに苦労し、仲間割れを繰り返し、土日休んで遊んでいる友人を傍目に年中無休で働きまくったのではないでしょうか。
あなたがまだ先の長い若い世代なら、食わず嫌いなんかせずに、もっともっといろんな経験を積んでいくべきです。
視野を広げるべく、あっちこっちにアンテナを張り巡らせるべきです。
直線距離で行く人生よりは、紆余曲折の人生のほうが人を鍛えます。
“働く”ことの意味を自分なりに咀嚼し、他人にも語れるようになったとき、あなたの信念は本物になっているでしょう。
信念に基づいた行動は他人を動かし、他人の共感・協力が得られれば、自分のやりたいこともよりやりやすくなり、その結果、自分の夢や目標に向かって着実に一歩一歩近づいていけるのです。




yoron at 09:57│Comments(4)TrackBack(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 仕事人の叫び 

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1. "やりがい"をどこに求めるか?〜志望動機の考え方〜  [ “オトナ”FAN CLUB ]   2004年11月30日 10:18
今日で11月も終わり、2004年もあと1ヶ月となりましたね。 06年卒業予定の学生の方々の中には「既に多くのOB/OGや内定者と会って色々な話をしている」という方もいらっしゃるのではないでしょうか? OB/OG訪問での社員の方々との対話が就職活動において重要なのは言うまでも

この記事へのコメント

1. Posted by こに   2004年11月27日 00:08
はじめまして。

とても共感しました!
本当にその通りですよね。

「やりがい」は与えられる者ではなく、自分で見つけるものだし、見つけるためには苦労もしなくてはいけなし、結局何か行動しなくては何も身にならないということですよね。

うちには、3歳の子供がいますが、これくらい小さい子供だと、何でも楽しみを見つけて、いろいろチャレンジして(ボタンをするとか、着替えとか)、それができると「できた!」と大喜びです。やっていることは大人からみれば単純ですが、チャレンジ精神とか充実感は、きっとその辺の20代の若者よりもあふれているのではないかと思うくらいです。

ちょっと前にやりたいことが見つからないと言う20代の男の子に、「貴方は何がやりたいの?」と聞いたことがあって、うちの子の例を出して話したら、馬鹿にしたような顔をされたのですが、私から見たら、チャレンジ精神と何でも興味を示す旺盛な好奇心の強さで3歳児の方が勝っているんですよねえ。20代のアンタは、そんなヤル気の無さでいいのか?という意味だったのですが、その若者に通じたかどうか・・・。

結局、やりがいもヤル気も全て本人の心がけ次第だと思います。

では
2. Posted by ヨロン/竹内富雄   2004年11月27日 05:46
こにさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

お越しいただきありがとうございます!
子供の例は面白いですね!
本当におっしゃる通りだと思います。
いい年しているのに、子供の言動以下という人は多いですよね。
私もその1人だったりして(^^;
子供の頃の純真な気持ちとか夢とかを持ち続けて成長できたなら、
案外いい大人になっていくような気もします。
そういう点では、子供から教えられることは多いかもしれませんね。
3. Posted by BE ADULTY !!   2004年11月30日 11:19
はじめまして。
トラックバックさせていただきました。

"やりがい"や"自己実現"は自分自身で創りだすもの、、全くその通りだと私も思います。
以前読んだとある本の受け売りですが、「仕事は自分を誇示する手段ではなく、自分と他人に対するギフト(贈与)であり、それが結果としてお互いを満たす」ということなのだと思います。

他人にギフトをあげる時の"この人にとって一番嬉しいプレゼントは何かな?"という感覚で仕事をこなしていくことが出来れば、それがどんな仕事であれ、周囲からのフィードバックとして返ってきて、それが結果として自分自身の"やりがい"にもなるのだと思います。

私は来年4月から社会人になる身ですが、今回のヨロンさんの"やりがい"と"自己実現"の話は自分自身への戒めとして心にとどめておきたいです。


コメントなのに長文失礼しました。では。
4. Posted by ヨロン/竹内富雄   2004年11月30日 13:53
BE ADULTYさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

コメントをいただきありがとうございます。
「ギフト(贈与)」ですか、なるほど、いい表現ですね。
贈る側は真心を込めて贈り、受け取る人も相手の気持ちを嬉しく思う。
そういうふうに感じながら仕事ができれば最高ですね。

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