オフ会で人脈を広げる仕事人の無形資産

2004年08月12日

頼られる人になれ!

最近は、上司の部下への接し方、教育のやり方として“コーチング”が流行っています。
コーチングとはどういうものか、一言でいうなら、「いかにして部下をやる気にさせるか」ということになります。

コーチングなどという真新しい言葉を耳にすると、特効薬のようなイメージを抱きがちですが、実は、部下をうまく育てるのは上司の当然の役目なのであり、そんなものは昔から必要性が叫ばれ現場で実践されているのです。
ですので、以前にも書きましたが、横文字に騙されてはいけないのです。


違う角度からみたら、上司が部下を使うこと、つまりマネジメントというのはそれほど難しいということかもしれません。
上司と部下の関係は、「命令する・される」の関係以前に、1個人同士の関係です。
ということは、関係の始まりの第一歩として、まずはお互いに相手の人間性を理解し合わなければならないのです。
特に、上司は部下をよく理解し、その思考・行動特性を把握する必要があります。

以前勤めていた会社で、いつだったか、ラインの責任者をはずれ専門職に就いた同僚の管理職に、「ラインの責任者をはずされたとき、落胆しませんでしたか?」と質問したことがあります。
そのとき彼から、こんな言葉が返ってきました。
「いや、負担が減って気分が楽になったよ。部下を管理するのは、本当に負担がかかるしストレスが溜まるもんなんだよ」

そのときは、その意味がよくのみこめなかったのですが、何年か後、私自身が部下を持つ立場になったとき、彼が言わんとしたことをよく理解できました。
人が人を使って何かをやらせるというのはとても大変なことなのです。
しかも、使われる側のモチベーションを高めるというのは至難の業といえるでしょう。

私の職務経歴の中では、部下(俗にいう平社員)の立場のほうが長かったのでわかるのですが、部下というのは、そもそも管理されることを嫌うのです。
また、上司が管理する役目を負っているのは当然でもあるにも関わらず、上司の言動をいちいちとらえては批判したりするのです。
「自分がその上司の立場だったらどうするか」と思いをめぐらせ、先手で上司をサポートするなんてことは、よほど気の利いた人か上昇志向のある人でなければやりません。

多くの仕事人と接してきた中で、一番多く聞かされたのは、自分の仕事がいかに大変か、会社や上司がいかに自分を理解してくれないか、いわゆる不平・不満の類です。
また、平社員時代は理想的なことやかっこいいことを言っていたのに、いざ自分が部下を持つ身になったとたん、その人が批判していたようなことを繰り返していたという実態も目撃してきました。

私自身、実際に部下を持ったときから、現実は理想通りにいかないという壁に直面しました。
そして、陰で部下からさんざん批判を受けたこともあります。
ある女性の部下が「彼は上司としての資質に欠ける」と批判していたのを、人づてに聞かされたこともありました。
職場では、お互いに何事もなかったように笑顔で接し合っていながら、部下の本音は違うところにあったという事実を知るときほど辛いものはありません。
これは、実際にその立場になって経験した人でないと理解しづらいでしょう。

部下は、職務上上司の命令に従わなければなりません。
よほどの事情でもないかぎり、合理的な範囲の命令内容であるなら、その命令に従わないと、評価が悪くなったり、異動させられたり、最悪の場合は解雇されてしまいます。
だから、部下は上司に対しては弱い立場にあるのです。

しかし、上司やリーダーも血の通う人間です。
感情もありますし、人並みに悩んだり、痛みを感じたりするものなのです。
職務とはいえ、自分の采配が会社や部下に影響を与えるわけで、人一倍努力しないと務まらない立場かもしれません。
それゆえ、上司やリーダーの立場を経験することで、一皮向け成長していくのでしょう。

誰かの命令や指示に従い、誰かについていくのが部下だとしたら、上司は、部下に命令や指示を出し、チームの方向性(ビジョン)を示し率いていくのが仕事といえます。
最近の新聞記事で、ある経営者の「最近、リーダーになりたがらない社員が増えて困っている」というコメントを読んだのですが、つまり、これは「部下を使うなんて面倒くさいことはやりたくないという人が増えている」ということなのでしょうか。
もしそうなら、日本の産業界は、今後リーダーになる人材がますます枯渇し、危機的状況に陥るような気がします。

そうならないためにも、私のBlogの読者の皆さんに呼びかけます。
誰かに頼る人ではなくて、誰かから頼られる人になろう!と。


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この記事へのコメント

1. Posted by のぶきた   2004年08月12日 11:54
 ヨロンさん、こんにちは! まいど、のぶきたです。

 誰かに頼る人ではなくて、誰かから頼られる人になろう!、とはいい言葉ですね。

 私も、リーダーという立場の場合、部下の管理には人一倍気を使うほうですが、自分のキャラクターをさらけだして、上司は完璧ではないので、何か改善策があれば遠慮なくどんどん提案してほしいと言います。

 そんな雰囲気ですと、上司も部下もいい関係を築けます。

 自分も部下によって育てられると感じますね。
2. Posted by ヨロン/竹内富雄   2004年08月12日 13:09
のぶきたさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

それはいい関係ですね。
「部下から学ぶ」という姿勢はとても大切だと思います。
中には、自分のやり方を押し付けようとする最悪の上司もいますし(^^;
私も、言いたいことを言える上司は大好きです!
3. Posted by 山本   2004年08月12日 17:23
ヨロンさん

こんにちは。山本です。

頼られる人になる・・・同感です。

それと、コーチングは、マーケで使えそうなので色々勉強しているんですが、結局質問の妙義なんでしょうね。

古くは、お寺の禅問答なんかも、ある意味「気付きの質疑応答」っで、最古のコーチングなのではと感じます。

部下に悟りを開かせる道を作るのが、上司というか上に立つ者の役割かとも感じます。
いきなり、経営者になって、この辺の心構えが非常に重要である事を痛切に感じている次第です。。。

とりとめも無いコメントですみませんm(__)m
4. Posted by ヨロン/竹内富雄   2004年08月12日 18:19
山本さん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

ほー、お寺の禅問答にもそういうのがあるんですか。
コーチングという言葉は別にして、人への接し方というのは昔から研究されていたのかもしれません。
その立場になってはじめて実感するというのは多いと思います。
だから、何事も経験するというのは大事なんでしょうね。

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