コロナ禍だからこそ真剣に考えたい、世の中の今後、勤務先の今後、自分の今後プロの仕事人に求められるものは何か

2021年01月11日

“スカウト”という言葉に舞い上がってはいけない!

大手町2
(スカウトされた!、と単純に喜んではいけません)
スカウト”という言葉を聞いてあなたはどんなイメージを持ちますか?
おそらく、多くの人はこういうイメージを持つのではないでしょうか。
能力のある人がその人の能力を見込んだ誰かによって声を掛けられる行為、と。
どういう場面であっても、誰かにスカウトされたら悪い気分はしないという人は多いのではないでしょうか。
能力というのとはちょっと違うかもしれませんが、例えば、若い女性が繁華街を歩いている時に風俗系の関係者から、「うちでモデルとして働きませんか?」みたいな声掛けをされたら、表面的には嫌だなと避ける反面、深層心理の部分では「私ってモデルになれる素質があるのかしら」などとちょっと嬉しくなることもあるのではないかと。
だって、失礼な言い方かもしれませんが、若くても不細工な女性には声なんて掛からないでしょうからね。

ところで、仕事人もそこそこのキャリアが築けている段階になるとどこからともなくスカウトの声が掛かることがよくあります。
ある日突然電話が掛かってきて(今だとメールかな?)、「私はXXと申しますが、突然の電話で失礼します。実は、、、」などと話が始まると急にドキドキし、困惑と同時に「おっ、私もついに外部から認められる存在になったのか」とプライドをくすぐられます。
そもそも自分のことをどうやって知ったのだろうかと訝しむ人もいるかもしれませんが、スカウト業界の関係者だった経験で言えばこれは何も驚くことではなく、業界関係者はそれが仕事だからどんなことをしてでも個人情報は集めるのです。
それに、ほとんどの場合、スカウトの声を掛けているのは複数であってあなただけではありません。
もちろん、声を掛ける側は「あなた以外にも声を掛けている人がいまして」なんて言いませんから、スカウトされた側は「ぜひあなたを!」と言われるとつい舞い上がってしまうのです。


転職を考える人が真っ先にやりがちなのが、求人サイトへの登録です。
特に大手求人サイトは実績や安心感があるからなのか多くの人が登録します。
その際、登録フォーマットの中に人材紹介会社(エージェント)からのスカウトメールを受け付けるか否かを問う項目があり、そこにチェックを入れておくと、20代、30代ぐらいの若い人などは直後から多くのスカウトメールがじゃんじゃん届くでしょう。
これはどういう仕組みになっているのかというと、大手求人サイト運営会社は自分たちのビジネスとして求職者の登録情報を取引先の人材紹介会社(エージェント)に売るんです。
大手の人材会社は多数の取引先があり、大会場に多くの取引先を集めての説明会を開催したりします。
取引先は一定料金を支払って求人サイトのデータベースを使わせてもらうのですが、それなりの金額なので頑張って自社の売上をつくらないと厳しいものがあります。
ただ、膨大な登録者情報を得られるメリットは業界関係者にとっては魅力なのです。

さて、情報にアクセスできるようになった人材紹介会社(エージェント)は次にどういう行動をとるかといえば、自社の取引先(売り込み先)からもらった求人情報に基づき、該当しそうな人物をデータベースから抽出した上で、片っ端からスカウトメールを打ちまくります。
1求人案件に対し数十〜数百件ぐらい打つのはふつうです。
なぜそんなに打つのかといえば、多くの登録者はそのメールを無視するので、メールへの返信数を増やすためです。
求人案件に興味を示し、実際に面接して人物像を確かめることができれば、客先へ売り込みやすくなり、そして双方が納得して採用が確定すれば人材紹介会社(エージェント)は紹介手数料(年収の20〜30%)を受け取ることができます。
単純な話、年収1,000円の契約で求人企業に採用してもらえたら、手数料を30%とするなら300万円の売上になるわけで美味しい商売なのです。
だからメールを打ち続けるし、また、候補者を探すにあたっては、このやり方以外にもいろんなやり方を使います。

飲み歩きを趣味にしていた頃は、たまたま隣合わせた人と飲み仲間になり、その人が求人企業のニーズに合っていた際は転職を勧めたこともありました。
メールを打つのは同じ文面で宛先を変えるだけなので単純作業の繰り返しですが、文面だけは相手の心に響くように一生懸命練ります。
とはいえ、「あなたの経歴を拝見しましたところ、あなたの高い能力を思う存分発揮できる会社があり、うんぬんかんぬん」といったふうに、いかにもあなたを特定してのメールのような内容にするのが一般的です。
先程も言ったようにメールを打つ側は数十人、数百人に同じメールを打ったりしますが、受け手側は、特に初めて転職活動を行う人は、「おお、私をそんなに高く買ってくれる企業が早速現れたか!」と勘違いして舞い上がってしまう人も多いのです。
実際、人材業界を経験する以前の私がそうでした。
コロナ禍でリストラに遭ったり、あるいは勤務先の前途を悲観して転職活動をする人も多いかもしれませんが、求人サイトに登録する場合は上記のことなども参考にしていただければと思います。

そして、元業界関係者としてアドバイスをするなら、もし、人材紹介会社(エージェント)からの紹介案件に興味があって応募してみたい場合は、担当者のキャリアコンサルタントと面談する際にしっかり相手の人物像を見極め、信頼できる人かどうか自分なりに評価をすることです。
裏話をさせていただくと、この業界(人材業界)にはいい加減な会社もたくさんあって(いい加減な担当者もたくさんいて)、例えば、その会社に渡した応募書類(の情報)が他社に流出していたなんてこともありえます。
からくりとしては、ある人材紹介会社に非常勤で職を得ていた人が自分の個人事業として同業を営んでいて、自分の事業のために勤務先の情報を勝手に使う、みたいなケースです。
あるいは、自社で集めたデータを他社に売るといったケースもあるかもしれません。
何にしろ、自分の仕事ではプロであっても、転職の際には“スカウト”という言葉で舞い上がってしまうこともあるので、この記事も参考にしながらぜひ慎重に行動して下さい、といったところでしょうか。

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yoron at 09:55│Comments(0)仕事人の叫び 

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