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2020年06月20日

同じ仕事に慣れ過ぎ、それにこだわり続ける危険性

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(慣れって怖い面もあるんだよねぇ。。。)
仕事人にとって、自分の専門分野を持ち、それを極めていくことは大事なことです。
「あなたが得意な仕事は何ですか?」と聞かれ、「さー、わかりません。特にこれといってないんですよね」などと言っているようでは、本人は謙遜して言ったつもりでも他人は評価してくれません。
かつて、転職活動をしていた時、あるIT系の中小企業の総務職に応募したことがあります。
その会社はトップを務める社長が一代で築き上げた会社でしたが、面接前に一枚の書類を渡されそれに記入に求められました。
その書類には、総務機能の全項目が記入されていて、それぞれの機能について自分がどれだけ業務遂行できる自信があるかレベルをチェックするようになっていました。

私は、自己アピールの場面とはいえ、あまり自信満々に書いて後で恥をかくのは嫌だなと思い(極めて日本人的?)、すべての項目においてやや謙遜気味にチェックを入れました。
例えば、採用業務の遂行能力については「普通」といった感じで。
ところがである、私が記入した用紙を見たその会社のトップは、面接に臨んだ際、「お前はこの仕事について何もできないのに応募してきたのか!。そんなやつはうちには要らん!」と開口一番言い放ったのです。
もしかしたら、いわゆる圧迫面接というやつだったのかもしれませんが(一般的には応募者に嫌われる)、当時はこの一言ですっかり気落ちしてしまいました。
そのトップは、その言葉に返す私の言葉がしどろもどろになったとみるや、さらに追い打ちをかけるように、「真面目にうちを受ける気がないのなら、この面接は無意味だから帰ってよし」と言ったのでした。


ここまで言われると、私もすっかり気分が萎えてしまい、その面接を辞退して帰途につきました。
私が30歳前後の時の経験です。
こういうことは二度と経験したくないものだと思っていたら、実はその後の仕事人人生で再び経験することがありました、今度は逆の立場で。
かつて勤めたある中小企業で、ある若い応募者の採用面接に社長と採用担当者の私の二人で臨んだ時のことです。
私の隣に座っていた社長が主に質問をしていたのですが、各質問に要領よく回答できない応募者を一喝したのです、完全に上から目線で。
「お前はそんないい加減な考え方で仕事選びをしているのか!」と。
応募者も驚いていましたが、私も驚きました。
最近は圧迫面接は企業側もやらない傾向がありますが、中小企業ではまだ残っているのかなと思います。
もちろん、面接に臨むトップは悪意で応募者を落とそうとしているのではなく、相手の真剣度ややる気を見るためにやっているんですけどね。

前振りが長くなってしまいましたが、今回の記事で言いたいことは、冒頭に戻って、自分の専門性にこだわり続けることの危険性についてです。
専門性というと言葉はかっこいいのですが、多くの仕事人は何らかの仕事に就きそれを長く続けているとその仕事については詳しくなるものです。
仕事に慣れることはその仕事を極めていく上で大事なことではあるのですが、ただ慣れ過ぎてしまい、その仕事から離れられなくなってしまうと、物事の見方が全体最適の思考からではなくどうしても部分最適の思考からになりがちになってしまいます。
例えば、人事という仕事ばかり長くやっていると、“企業は人なり”という言葉に心酔してしまうのか、人事こそは組織の要で会社の事業を動かす上で人事の仕事がもっとも重要だと思い込んでしまったりします。
たしかに、企業(組織)の中で人事の仕事は重要だし果たす役割も大きいのは間違いありません。


しかし、その会社が人事絡みの事業を行っているのでなければ、人事は直接は利益を生まない管理系の仕事であり、その仕事をやっているスタッフは裏方として縁の下の力持ち的存在であらねばならないのです。
製造業ならば、あくまでも主役は、その製品を開発しているスタッフであり、作っているスタッフであり、そして売っているスタッフです。
そのスタッフたちが働きやすいように環境を整備してあげるのが人事の仕事に求められることです。
それなのに、本来主役にならなければならないスタッフに対し強圧的なもの言いをしたり、指示命令したり、「お前たちの人事や評価は私(たち)の考え一つで決まるんだ」みたいな考え方をしてしまうのは、思い上がりも甚だしいでしょう。
若い人の中には、そういう悪い面がいい面に見えてしまうか、「人事の仕事がやりたい!」と考える人もいるようですが、私の経験も踏まえていえば、いろんな仕事の経験を積み、酸いも甘いも噛み分けられるぐらいの人がこの仕事に向いているように思います。

人事の仕事を例にしましたが、これは他の仕事にも言えることです。
同じ仕事に慣れ過ぎ、それにこだわり続けると、その分野についてはノウハウもスキルも増えていくかもしれませんが、逆にそれは他の分野のことを知る機会を減らしてしまう結果にもなります。
勤め人が勤め先を定年で退職したりする時に、これまでの仕事人人生で培ってきたものを生かして起業したいと考えることは多いものです。
何かの技術開発に長く関わった人が、それを事業の柱にして起業するとか。
でもね、自分が社長になって起業したら、得意な技術だけではなく、営業も管理もありとあらゆるものを自分でやらなければならないならないんですよね。
もちろん、苦手な分野は他人を雇うという手段もありますが、そうなると雇うだけの財力も必要になります。
その財力がなければ自分でやるしかありません。
かつて、あるブログで読んだ記憶がありますが、そのブログ主は以前に有名な外資系経営コンサルタント会社でコンサルタントとして活躍していたようですが、自分で起業したらそれまで他人に説いていたようには経営ができず苦労の連続だったと書き綴っていました。

まぁ、世の中の現実とはそうしたものです。
だから、繰り返しになりますが、専門分野を持つことの重要性を否定するつもりはないものの(それが重要であることは論を待つまでもないでしょう)、同じ仕事に慣れ過ぎ、それにこだわり続けることにはやはり危険性があると思うわけです。
自分のキャパを超えてまで何でもかんでも手を出せとまでは言いませんが、ある程度は手を広げて(経験を積んで)より広い視野から物事を見れるようにしておくことはとても大事なことです。
私は、これまで勤めた会社でいろんな仕事を経験しつつ、転職を10数回行っていろんな会社(業界)も経験してきましたが、知らないことはまだまだたくさんあります。
そういう点では、常に謙虚な姿勢でいろんなことを学んでいこうと思っています。
「人生、何歳になっても勉強は続く」と誰かが言っていましたが、年をとればとるほど、「そうだなぁ」とつくづく感じます。
さて、あなたは、今の仕事(のやり方と思考)に慣れ過ぎていませんか?

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yoron at 06:43│Comments(0)仕事人の叫び 

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