実務ができないくせにかっこいいことを言うのはよそう失業を心配し過ぎるな、新しい仕事への挑戦も楽しいものだ

2020年05月20日

業績不振の大企業の正社員殿、覚悟して下さい。リストラが断行されます。

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(今そこにある危機、これは映画のタイトルではなく現実です)
さる4月16日付の記事で、間もなく大リストラの時代が来るということを言いましたが、最近の経済絡みのニュースを目にするにつけ、ますますその感を強くしています。
“誰でも知っている大手有名企業の倒産なんていう一大ニュースも出る可能性があり”と言った点でいえば、レナウンの倒産は多少は該当するかもしれませんが、レナウンは過去の有名企業ではあっても最近は鳴かず飛ばすの存在だったので驚くほどではないでしょう。
おそらく、もっとインパクトのある倒産劇があると予想しています。
だって、既に超大手企業でさえものすごい業績ダウンの予想をカミングアウトしているではないですか。

ところで、業績が悪化したからといって、大企業ともなると労働法のしばりがきついのでそう簡単には正社員の解雇はできません。
法律上は、原則として以下の4つの要件を満たす必要があります。
1.人員削減を行う経営上の必要性
2.使用者による十分な解雇回避努力
3.被解雇者の選定基準およびその適用の合理性
4.被解雇者や労働組合との間の十分な協議等の適正な手続

それなりの大企業であれば、この要件のことはわかっているので、これを踏まえた上で着々とリストラ計画を進めます。


私はこれまで十数回転職していますが、勤めた会社の3社において希望退職の現場を経験したので、リストラはどう計画されどう推進されていくのか、一事例としてご参考に紹介します。
なお、リストラというのは、リストラクチャリングの略語で、本来の意味は“事業の再構築”です。
ただ、その過程で人員の再配置・解雇などが発生し、特に解雇される側になるとリストラは首切りのイメージが強くなってしまうのです。
おそらく、勤め人にとっては、勤務先が業績不振に陥ると、自分が首になるかどうかは最大の関心事になるのかもしれません。
そこで、多くの人が関心を持っているであろう解雇までの会社内の動きをお話ししたいと思います。

ある会社ではこんな感じでリストラ計画が立てられ実行に移されました。
例えば、5年前の売上高が500億円でその当時の社員数が500名だったとします。
そして、今期の売上高は1,000億円で社員数は1,000名だったとします。
会社は世の中のある出来事に直面して業績不振に陥り、次期の売上高予想が500億円になったとします。
その数値を知った経営トップは危機感を持ち、売上高500億円は5年前の水準なので社員数も同水準にしないと経営はできないと判断し、人員調整を含めた事業の再構築計画を立てるよう側近の部下に命じます。
部下たちは、その案件をトップシークレット扱いにして粛々と業務を進めます。


会社(経営)側の解雇回避努力としては、例えば、各部署に対し徹底的なコスト削減を命じます。
その段階では、正社員の解雇の件は触れずに、それ以外の経費に焦点を当てます。
(外資系の場合は最初から人員削減に踏み込む可能性も大いにあります)
かつては、真っ先に削減されるのが3K(交通費、広告宣伝費、研修費)なんていうのもありました。
何にしろ、人に手をつけないところでのコスト削減については、社員はぶつぶつ言いながらも(仕事に支障が出るとか何とか)協力をします。
しかし、会社(経営)側の本音では、人件費を除いた部分でのコスト削減には限界があると考えています。
また、社員まかせのコスト削減では期待したほどの成果が出ないこともわかっています。

で、あれこれやり、社内調整をした後、いよいよ全社員向けのメッセージを出します、トップ名で。
簡単に言えば、「いろいろ手を尽くしましたが、どうにもならなかったので、皆さんにご協力をお願いします」という感じ、つまり誰かに辞めていただくという内容です。
退職金の他に特別加算金を提示して誰でも応募できる希望退職制度を設けてくれる会社は、ある意味良心的な会社でしょう。
私が経験したのはこういう会社でした。
通常は応募できる年齢を40歳以上とか50歳以上とかわりと中高年に限定するのが多いのが一般的ですが、これは、若い人に比べ中高年者は、今後の成長期待性、コストパフォーマンスが低い(悪い)からです。

この制度が公平公正に運用される会社においては、誰が手を上げても、よほど優秀で社運を左右するような人材でないかぎりは大した引き留めもなく退職できます。
逆に、早く辞めてほしいような人については、上司が圧力をかけることもあります。
直接高圧的な言動で圧力をかけないにしても、例えば、本人が望まないような人事異動を打診し自ら退職の道を選ぶような追い込み方をすることもあります。
名称だけはかっこいい部署名でありながら集められた社員を見たら、全員が元の部署のダメ社員ばかりだったら明らかにリストラされる側になったということに気付くでしょう。

巷のビジネス書やらメディアの記事なんかで、リストラされないためには仕事ができる人間になれみたいなことが書かれているのを見かけることがありますが、私に言わせれば、それはタテマエ論で、現実からかけ離れている印象があります。
そもそも、組織の中においては、“仕事ができる”というのは、いろんな解釈ができるんです。
その組織では仕事ができる部類だった人間が、他社に転職したら仕事ができない部類に入ってしまうかもしれないし、逆にその組織では仕事ができない部類だった人間が、他社に転職したら仕事ができる部類に入る可能性だってあります。

リストラが断行される時は、どちらかといえば、権力に立つ側の好き嫌いの感情が大きく影響します。
だから、自分では自分のことを仕事ができる人間だと思っていても、日頃から上司とぶつかってばかりいて上司の不興を買っていたらリストラの対象になりやすいでしょう。
マネージャー職であれば、直属の部門長や社内で実権を握っている役員クラスから嫌われているタイプは同様に対象になりやすいと思ったほうがいいでしょう。
外資系企業の場合は、日本法人がそれほど業績が悪くなくても、本国の本社の(全社)業績が悪ければ、その影響をもろに受けて日本法人もリストラの対象になることがあります。
そういう点では、外資系企業の日本法人の社員は、本国の動向も注視しておいたほうがいいかもしれませんね。

基本的に、自社の業績が大幅に悪化するという情報に接したら、リストラは免れないと覚悟を決めておいたほうがいいでしょう。
そして、自分が40代、50代のような中高年者であれば対象になりやすいということも覚悟しておいたほうがいいと思います。
覚悟を決めるというのは、最悪の場合の次の進路を考えておくということです。
運よく今回のリストラは免れたとしても、リストラ後の社内の空気はしばらく暗くなりますので、その場合の仕事の取り組み方も考えておいたほうがいいでしょうね。
リストラの時は、“”去るも地獄、残るも地獄”なんてよく言われたりします。
自分自身の経験を踏まえながら長々と書いてしまいましたが、今後の展開は当面厳しい方向へ進んでいきそうなので、今は大丈夫と思っている大企業勤務の皆さんも覚悟を決めておいたほうがいいかも、ということを言いたかったのであります。

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yoron at 21:06│Comments(0)仕事人の叫び 

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