自分の思いとは違う他人の意見は参考程度に聞くか、無視すればよい目的がはっきりしているなら、やり方はいろいろあっていいと思う

2018年05月24日

知識だけではうまくいかないことも多い、だからこそ経験を積むことが大事なんだ

アジフライ
(知識は生かせるようになってこそ意味がある)
知識というのは、持っているだけでは宝の持ち腐れで、それを使ってみて、最初はうまくいかなくてもだんだんうまくいけば役立っていきます。
知識が知恵になっていくにはそういうプロセスが必要です。
私は以前から仕事人は経験を積むことが大事だと言ってきましたが、他人に話をする際に自分の経験がベースにあると説得力を持ちます。
これは逆に他人の話を聞いてみるとよくわかると思います。
特に自分が経験したことのある事柄について相手が経験もないのに話をしているのを聞くと、「ははぁ、この人は何もわかっていないなぁ」と直感的に気付きます。

例えば、自分に何らかの不利益があった時に誰かにそのことを相談すると、「訴訟を起こすべきだ」などと知ったかぶりで言う人がいます。
私はかつて仕事上で原告側の立場で訴訟を起こした経験がありますが、当時のことを振り返ると、「裁判って面倒だなぁ」とつくづく思いました。
膨大な証拠集め、多くの書類作成、手続き、結審に至るまでの長い所要時間などなど。
数百万円の売掛金を支払ってくれない顧客に対する訴訟でしたが、自社が大企業であれば訴訟など起こさず損失として会計処理したほうがいいのではと思ったほどでした。
実際、かつて勤めた大企業では、経理部長が少額の焦げ付きなら損失処理したほうが経営上はいいなんてことを言っていましたから。


これも私自身の経験談ですが、かつて知人の事業資金として100万円貸したことがありました。
ところが、この知人は事業がうまくいかず逃げて行方をくらましてしまいました。
この時、私には二つの選択肢がありました。
一つは、裁判などを利用して徹底的にその知人を追い詰めてお金を取り戻すというやり方、もう一つは、「いい勉強になった」と割り切ってお金を取り戻すことを諦めるというやり方。
私は後者を選択しました。
なぜならば、前者にかける膨大な労力、費用を考えたらわりに合わないと思ったからです。
100万円ぐらいだったら働けば得られる収入でもありましたし。
一方で、かつて勤めた飲食店でお店側に給料から天引きされた社会保険料をネコババされた時は、なるだけ労力、費用をかけずに相手に勝つ戦術をとりました。
これらの私の判断・選択はすべて過去の経験を踏まえてのものでした。

話は飛びますが、私は現在料理人として仕事をしています。
料理人は調理をするのが仕事ですが、その仕事の一つに、揚げ物料理を作るというのがあります。
知識でいえば、揚げる食材を小麦粉→卵→パン粉の順番でつけ油で揚げるだけという簡単なものです。
慣れている人はこの動作を簡単そうにやるので、見ている人は自分にも簡単にできそうだと思ってしまいがちです。
しかし、私が実際にやってみた経験でいえば、そう簡単ではありません。
お客さんに出す(対価をいただく)料理は、当然のことながら見た目も美味しそうで実際に美味しくないといけませんが、素人にはそれがなかなかできないのです。
プロにそれができるのは何年も修行を積んでいるからです。
見るとやるでは大違いというのはまさにこのことです。

自分でやった経験もないのにやっている人をバカにしたり、批判したりするのは愚の骨頂です。
こういう人がやりがちなのが、何か問題が起きた時に、悪戦苦闘しながらそれに取り組んでいる人のやり方を対案もないのにただ批判することです。
こういう人は、「じゃ、あなたやってよ」と言われると、「いや、それは私の仕事ではない」、「権限のない私ではどうにもできない」などと言って逃げてしまいます。
当事者になると火の粉を浴びることも多いですが、当事者意識を持って仕事をするといろんな経験が自分の血となり肉となり自分が成長できます。
経験がすべてなどと言うつもりは毛頭ありませんが、仕事人はあくまでも実践者であるべきで、そのためにはいろんな経験をたくさんすることが大事だと思うわけです。

この記事に共感いただけましたら、以下アイコンのクリックお願いします。
人気ブログ

<br><br clear=
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
yoron at 10:19│Comments(2)仕事人の叫び 

この記事へのコメント

1. Posted by ごんた   2018年05月24日 20:20
世論さんの今回の話、うんうん唸りながら読んでしまいました。特に「揚げ物」は、料理人の腕が顕著に出るところには同感です。

私も、訓練校時代に揚げ物は、75℃1分以上の加熱という基本ルールを覚え、それを現場でロースカツを揚げる際に実践したところ、ベテラン社員から「そんなに長時間揚げてたら肉が硬くなるぞ!」と言われました。

その方は、絶妙なタイミングで油を切り、余熱をうまく利用することでジューシーなカツを揚げるのを目の当たりにして、「教科書の知識通りじゃ、やはり通用しないんだなぁ」ということを改めて痛感しました。

安全も大事ですが、やはり味をないがしろにするとお客さんが離れてしまうので、食の世界は難しいなと感じる今日この頃です。
2. Posted by ヨロン/竹内富雄   2018年05月24日 23:56
>ごんたさん

共感いただきありがとうございます。
ごんたさんのコメントは、同じ体験をされているがゆえに私にもよく伝わってきます。
この記事で言いたかった部分でもあります。

料理人の最初は揚げ物からスタートというのはよくありますが、初歩といっても実際やってみるとなかなか難しいですよね。
私も学校時代に教わったことは現場ではほとんど生きていないというか役立っていない感じです。

おっしゃるように食の世界は深く、難しい面もありますね。
一方で、食は人間が生きる上でもっとも大事な活動なので、自分自身のためにも学ぶことは多いですよね。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
自分の思いとは違う他人の意見は参考程度に聞くか、無視すればよい目的がはっきりしているなら、やり方はいろいろあっていいと思う