他人の良い面を認める意識は常に持っていたほうがいい。人は認められると嬉しいものだから。経験がないうちは経験を積むことを優先すべし、特にキャリアチェンジした時などは

2017年06月07日

やる気だけ、頭の中のイメージだけではどうにもならない現実もある

ある中小企業で働いていた頃、大手企業から転職してきた私より少し年長の同僚がいました。
前職時代に重職を経験した人だけあって、パワーポイントでのプレゼン資料作成はうまいしプレゼンテーションもうまい人でした。
人当たりも良かったので私はその人に好印象を抱いていて、お客さんの対応も悪くはない感じでした。
どうやら当時勤めていた中小企業の社長がその人が勤めていた大手企業と取引していた頃からの知り合いで、その縁で半ばスカウトしたようなかたちで入社したようでした。
そういう人でしたが、社内では他の同僚たちとうまく関係を築くことができず、その結果だんだん行き詰っていって最後は寂しく去っていきました。
私は個人的にこの人と親しかったのでよく一緒に飲みに行きましたが、その場でよく愚痴を聞かされたものです。

大手企業で活躍した人材なのになぜ転職でつまづいたのでしょうか。
“郷に入っては郷に従え”ということわざもありますが、一言でいえば、前職時代の成功体験があるだけにそれをベースに物事が進められると思い込み、新しい環境や新しい人間関係を軽視してしまったところに原因があったんだろうと思います。
これはあくまでも一般論ですが、私が思うに、大企業は中小企業に比べ優秀な人材が多いような気がします。
ここでいう優秀というのは、例えば、論理的思考があるとか、システマティックな仕事の進め方ができるとか、資料作成がうまいとか、プレゼンテーション力があるとか、組織的な(協調性のある)仕事ができるとか、そういったことなどです。
中小企業はそういう人材が少ないがゆえに、大企業のノウハウを取り入れたくて大企業出身者を採用したがる傾向もあります。


その人は会社のある部署のトップとして入社してきました。
その部署には古くからいる社員を含めけっこう曲者がいました。
もちろん大手企業に比べたらわずかな人数しかいなかったので、ひょっとしたら、その人は簡単にその部署を統括して回せると考えたのかもしれません。
ところが現実は簡単ではなかったのです。
私の当時の記憶をたどってある日の場面を再現するとこんな感じです。
その人(部署のトップ)が若手の部下に業務の指示を出した時の場面です。
その人:「お客さんから機器不具合の連絡が入った。とり急ぎ現場に行って確認と対応をしてくれないか」
部下:「うるせーなー。こっちは他のことで忙しいんだ。てめーで行けよ!」
その人:「このお客さんは大事なんだ。まずはこっちの対応を優先してくれないか」
部下:「だからそれどころじゃないと言ってんだろ。自分で受けたんだから自分で対応しろよ!」

これじゃ、どっちが上司でどっちが部下だかわからないといった感じかもしれませんが、まぁ、こんな感じのやりとりだったのです。
結局、その人は、部下からの思わぬ反応にやや面食らいながら、しぶしぶ自分で現場へ出掛けていきました。
おそらく、その人の頭の中には、大手企業時代に培った、顧客重視の姿勢、優先順位に基づく行動、部下への適切な指示というイメージがあったのかもしれませんが、現実は部下が指示を無視する(反発する)という事態に直面してしまったわけです。
その後もその人はこの部下はじめ他の部下ともやりとりに苦労していました。
そうなってしまったのは、その人のマネジメント能力というよりも、組織の体をなしていないような個人商店主の集合体のような企業風土では大手企業のやり方を持ち込むのは難しかったということなのかもしれません。
社長はそれこそ(大手企業のやり方)をその人に期待したのかもしれませんが。
その人が会社を辞める直前は、「部下が言うことを聞いてくれない」と自分をスカウトした社長に泣きついていましたが、社長は「部下をまとめるのが部署の責任者の役割でしょう」と突き放していました。

私はこれまで大手企業数社、中小企業を数社経験してきましたが、規模が小さい企業(組織)ほど他人に頼れないので自分で何でもこなすだけの覚悟と行動力がないと仕事ができないんですよね。
誰でも最初はやる気を持っているものなのでしょうが(採用面接では「やる気はあります!」なんてアピールすることは一般的なパターンだし)、やる気だけ、頭の中のイメージだけではどうにもならない現実もあるというのが世の中です。
定年あるいは定年近くまで大手企業に勤め、その会社を退職後にどこかの中小企業に再就職をと考えている人などは、私が紹介した事例のような現実があるということを予め頭に入れておくと役立つこともあるでしょう。
精神論だけで言えば、たしかにやる気はもっとも大事です。
どんな環境に身を置いてもやる気さえあればやっていけるでしょう。
ただ、私の経験も踏まえながらあえて言うなら、たくさんの経験、いろんな経験を積み重ねた上でのやる気と頭の中だけで考えているやる気には大きなギャップがあるということですかね。

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