人は、自分は語りたくないのに他人が語りたくない事実は知りたいものであるモチベーションの上がらない職場では、相性の良い聴き役の存在は大事だ

2017年05月08日

相手と似た職場環境に身を置き似た経験をしてみると、当時の相手の気持ちがよくわかる

その時は、相手の悩みや言っていることがいまひとつよくわからなかったのに、後に相手と似た職場環境に身を置き似た経験をしてみると、当時の相手の気持ちがよくわかるということがありますよね。
数年前、ある大手企業の社員食堂でパート勤務をしていたことがあります。
現在は、ある中学校の給食室でパート勤務をしていますが、両方とも飲食の世界では集団調理という分類では共通していて、パート従業員は家庭の主婦がメインというのも似ています。
社員食堂時代、私が退職する時期に後任者として採用された60代の男性がいたのですが、私の最後の業務としてその人への引継ぎがあり、それを私が退職する日までの二週間で行わなければなりませんでした。
さすがに二週間は短いなとは思ったものの、その間でベストを尽くすしかなかったため、業務内容や手順を文書化したほうがよりわかりやすいだろうと考え、マニュアルを作成して渡した上で日々の業務上でそのマニュアルに基づきOJTを行いました。
その人は業界経験が長いと聞いていたので、ある程度のことを教えれば理解してくれ業務習得は早いに違いないと思っていました。

しかし、実際OJTをしてみると、「よくわからないのでもう一度教えて下さい」と何度も言われ、同時に「教え方が早いのでもっとゆっくり少しずつ教えてほしい」とも言われました。
私の教え方がうまくないという点はあったのでしょうが、当初思っていたよりは理解は進まず、またそんなに多くの事柄を一度に教え込もうとしていたわけではないのに、本人のキャパを超えてしまったようでした。
とはいえ、私には教え終えなければならないデッドラインがあったので、私の退職後は他の人に任せればいいだけだったのですが、とりあえず引継ぎ業務のすべてを期限までに引き継がなければならないと焦っていたことは否めません。
当時、私としてはマニュアルも渡してあるのだから、本人が空いた時間に少し予習・復習でもやってくれていれば、同様の業務経験者でもあるしすべてを理解するのは可能なはずと思い込んでいたのです。
でも、よく考えてみれば、同様の業務といっても会社が違えばやり方だって違うはずだから、その職場の新人にとってはわからないことだらけだったのかもしれません。


この人の他に、同じ職種の経験がかなり長い60代の新人もいたのですが、この人も得意な分野では力を発揮するものの、それ以外のところでは業務がなかなか覚えられずとまどっていて、長年その職場にいる女性のパート従業員から散々なじられていました。
「あなた、経験者というわりには何もできないね」などと言われたこともあり、傍から見ていても気の毒というか、内心同情してしまいました。
私のような会社勤め経験が長く、また人事の仕事にも関わっていたような人間からすると、新人は周囲が温かく見守ってあげる必要があると思うのでしょうが、そこは家庭生活の空き時間を使ってパート業務に勤しむ主婦の皆さんのこと、仕事人経験の長い年輩者を育てるなどという考えはなかったかもしれません。
私も最近は同様の立場の同僚たちからきつい言い方をされることも多いのですが、今の環境に身を置いてひしひし感じることは、冒頭で紹介した私がOJTを行った60代男性、またこれも先程紹介した職場の他の60代男性とたぶん同じ状況、気持ちだということです。
本人は覚えよう、理解しようとしているのだが、なかなかできない。
点でたくさんのことを教わっても、それが線や面にならず、自分の中で消化不良を起こしてしまっている、そんな感じなんです。

「よくわからないのでもう一度教えて下さい」、「教え方が早いのでもっとゆっくり少しずつ教えてほしい」と言った男性の言葉、その時のこの人の気持ち、今は痛いほどよくわかります。
以前、自分の記憶力低下の現象が気になって専門医に相談したことがあるのですが、その時、担当医師から50代以降になると若い頃に比べかなり記憶力が落ちるのがふつうと言われました。
そうだとすると、該当する世代の人に若い頃のような感覚で教えてしまうと相手にとってはきついということになるわけです。
しかし、こういうことを予め知っていないと相手を誤解してしまう可能性もあります。
「こちらが一一生懸命教えているのに、この人はまったく覚える気がないんだ」、「この人はやる気がないんだ、だから覚えられない」といったような。
結局のところ、繰り返しになりますが、相手と似た職場環境に身を置き似た経験をしてみると、当時の相手の気持ちがよくわかる、言い方を変えれば、相手と似た職場環境に身を置き似た経験をしたことがあると、相手の気持ちがよくわかるのではないかと思うわけです。

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