少数精鋭とは、、、人は追い込まれた時に力がつく自分の求めているものがその仕事で得られるならやりがいを感じるはず

2016年11月17日

ビジネス書を捨て現場に出よう、現場では習うより慣れよ

若い頃、私はむちゃむちゃビジネス書を読む人間でした。
そのせいか、何かにつけ理屈を考えるタイプでした。
20代の頃、大手企業の経営企画部門にいたこともあり、その当時はそういうことも仕事に役立ちました。
書類作成が業務の大半を占めていたので、ビジネス書で得た知識が役立ったんですよね。
そのような経験をしたおかげで、自分で言うのも何ですが書類作成はうまいほうだと思います。
しかし、そういう仕事を離れ、転職したり、現場に異動になったり、中小企業や創業したてのベンチャー企業、個人経営の飲食店などで働いてみると、違う能力が必要であることに気付くようになりました。
変な話、大企業で身につけたノウハウ・スキルがどこでもどんな場面でも通用するのなら、中小企業などにいっても役立つはずだし、大いに貢献してその企業を成長させることができるでしょうし、その人自身が自ら起業したらその事業は成功するでしょう。
でも、現実はそうはいかないのです。

これも若い頃の話ですが、ある時、女性社員数名のベンチャー企業の女性社長から、日常の業務運営についてのアドバイスを求められたことがあります。
先程言ったように私は当時ビジネス書を読みまくって知識だけはあったので、その知識を頼りにいかにも大企業出身者にありがちなアドバイスをした記憶があります。
例えば、「たくさんの問題があるなら、まずはそれをすべて紙に書き出してみましょう。それから、問題の種類ごとにグルーピングするのです。そうすれば、大きな問題ごとに対策が立てやすくなります。あとはリソースを勘案しながら優先順位を決めて」とか何とか。
私の話を聞いていたその女性社長は、「時間の余裕があってそういうことができればいいですね」みたいなコメントをしていましたが、アドバイスを求めた手前当たり障りのないコメントをしつつ、本音では「まったく役立たないアドバイスだな(中小企業の苦労、実態を知らない人間の考えだ)」と思ったに違いありません。
今の私であれば同じように思ったことでしょう。


私がアドバイスした内容自体は理屈の上では間違っていなかったのかもしれませんが、ただ、相手の状況に合ったものではなかったのです。
自転車操業のため、日夜注文取りに走り回り、たくさんの人と会ったり、打合せをしたり、社内のいろんな案件を処理しなければならない、それこそ椅子を暖める時間もないような経営者に、時間を要するようなやり方を勧めるのは賢明ではありません。
それ以前に、経営者というのは大中小企業の経営者を問わず、従業員に比べ深く広く考えをめぐらせているものなので、私がアドバイスしたようなことは実は紙に書かずとも頭の中で常に考えていたりするものなのです。
言ってみれば、私みたいな若輩者の若造が言ったことは釈迦に説法だったわけです。
飛び込み営業なんて古くさいやり方だ、ネット時代なんだからもっとネットを有効活用すべきだと誰かが経営者にアドバイスしたら、経営者は、どちらかにシフトするという考えではなく、使えるものは何でも使う、状況に応じて使い分ける、というスタンスをとるでしょうね。
だって、経営というのは、いろんな手段を駆使して利益を得ることですからね。

習うより慣れよ』とよく言われます。
恥ずかしながら、私は年とってからのほうがそのことをよくわかるようになりました。
私は最近ビジネス書をめったに読まなくなりましたが、そのことで仕事に支障が出たことはありません。
むしろ、本から離れ、知識偏重の姿勢を改め現場で実践を通して学ぶようになってから仕事がはかどるようになったと思います。
いくら知識を詰め込んでも、それを知恵に変え実践に生かすことができなければ、それは宝の持ち腐れです。
それに使わない知識はどんどん忘れていくものです。
かつて、中小企業で働いていた頃、大手企業で経営幹部を務めた人が転職してきたのですが、その人は資料作りやプレゼンがうまく、自分だけでできる範囲の仕事はそこそこいい仕事をする人でした。
しかし、その人にとっての不幸の始まりは、ある部門の責任者に就いたことでした。
当時の社長は話上手だったその人に部門の統括を期待したのですが、部門スタッフは中小企業のやり方しか知らない、個人商店的仕事のやり方しかしない曲者ばかり、彼はスタッフとのコミュニケーションがうまくできませんでした。
ついには彼も音を上げ、社長に泣き言を言う場面も増えたので、社長もいつしか彼を見限るようになり、そして彼は寂しく会社を去っていきました。

たくさんの経験をし、たくさんの本を読んで知識を得ることも大事でしょう。
一方で、仕事の現場に立つ時や転職した時には、一旦頭をまっさらにして現場を観察し、ゼロから慣れることも大事です。
経営用語で言えば、事業戦略を見直す時にゼロベース思考という言い方をすることがありますが、まぁ、そんな感じですね。
傍観者や部外者ではなく当事者になればなるほど、このことの重要性はいやというほどわかります。
職場の同僚と居酒屋などで飲んで愚痴を言い合う中で、「経営者は現場の苦労を知らないんだよな」といった言葉が出ることがよくあると思います。
それは、自分たち現場にいる人間こそが現場のことは一番よく知っているという前提があるのです。
そう考えると、この記事のタイトル『ビジネス書を捨て現場に出よう、現場では習うより慣れよ』の意味がわかるのではないでしょうか。

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