自分の居場所を持てどこの会社も似たようなものだ

2005年04月09日

あなたは何ができますか?

前職を辞める直前に、自分の今後のキャリアプランを記述して上司に提出させられたことがあります。
どういう内容だったかというと、これまでどんな職務を経験してきて、現在どんなノウハウ・スキルを持っていて、会社でどんなことが貢献できるか、また今後どういうキャリアを歩んでいきたいか、というものでした。
早い話、転職活動のときに作成する職務経歴書と履歴書のようなものです。
つまり、社内で自分自身を売り込む必要があったわけです。

今や転職のときばかりでなく、社内であっても転職市場と同じく自分自身を売り込んでいく時代になっているのかもしれません。
そう考えると、上から落ちてくる仕事を口を空けて待っているだけでは、社外でも社内でも勝ち残っていくことは難しそうです。
逆にいうと、日頃から自分のキャリアプランを意識し、社内外で売れるノウハウやスキルをしっかり身につけていくことが大事だということです。
ここで気をつけなければならないのは、社内で売れるノウハウやスキルがそのまま社外でも売れるとは限らないことです。


転職を何度か経験されている人なら実感できると思いますが、会社を飛び出しても買ってもらえるのは他社でも通用する汎用性の高いノウハウやスキルです。
勤め人の場合、同じ会社、職場に何年もいると、仕事にも慣れ、社内事情にも通じてくるので、その会社のその職場では専門家・事情通として評価され、自分のやり方で仕事も回せるので、ある程度ヤリガイを感じるでしょう、周囲からも一目置かれるでしょう。

しかし、その人がそのときの状況から自分の能力・仕事力を判断し、他社でも通用すると思い込むのは危険です。
もちろん、やっている仕事や持っているノウハウ・スキルが世間一般的に高い評価を受けているものであれば別ですが。
例えば、単純な話、英語力があって外国人とのコミュニケーションが可能であれば、とりあえず英語力を必要とする会社からは買ってもらえます。
あるいは、いろんな製品に使われている半導体をつくっているエンジニアであれば、その半導体のエンジニアを必要としている会社は大いに歓迎します。

これに対し、社内の事務処理がよくできるとか、社内の仕事のやり方に通じていてそのやり方でなら他者より優れているとか、社内での調整がうまいとか、こういったものはその会社特有のものである場合が多いでしょう。
事務処理のノウハウやスキルが全部社外で通用しないというわけではなく、例えば、経理の簿記の知識や法律にのっとった決算業務に関するノウハウ・スキルなどはどこの会社でも通用するものです。
ただ、多くの人が気づいているでしょうが、その会社独特のやり方というのは随所にあるものなのです。

言葉にすれば、「仕事はPDCA(Plan→Do→Check→Action)で回す」とか「報連相(報告・連絡・相談)が大事」などということは、たぶん、ほとんどの組織で共通しているでしょう。
多くの人は、そのこと自体は「そうだ」と肯定すると思います。
これが日々の業務の中では、小さいことも含めて組織ごとに違うのです。
報告と一口にいっても、こと細かなことまで報告を求めるカルチャーの会社もあるでしょうし、細かいことは担当者任せの会社もあるでしょう。
このあたりは会社の規模によっても違うかもしれません。

私は現在3社目の会社を経験中ですが、表面的には同じ事柄でも、まさに三者三様です。
社内の意思決定プロセスでよく使われる稟議制度一つとっても、大いに異なります。
いや、正確にいうと、形式的には似ている部分も多いのですが、全体でみるとやはり違うのです。
会社ごとに、どういうやり方が稟議が通しやすいとか、受け入れられやすい書類の書き方とか、そんなのがあります。
これについてはいい悪いではなく、その会社の歴史や意思決定のプロセスが厳然としてあるので、後からそのプロセスに参加した人は慣れるしかないのです。

縁あってその会社に入社したからには、少なくともその会社にいる間は、会社のカルチャーに慣れ、その会社のやり方を知る必要があるでしょう。
しかし、何度もいいますが、意識を常に世間に向けていないと、その会社だけでしか通用しない仕事のやり方になってしまいます。
世間を意識するやり方としては、本を読んで勉強したり、いろんなところから情報を集めたり、社外の人と付き合ったり、吸収した新しい知識を仕事で使ってみたり、といったことがあります。
同じ会社、組織にいる期間が長くなればなるほど、居心地がよくなって離れがたくなり、あるいは外へ飛び出す度胸がなくなってしまうので、自分自身が既にそうなっているという人は要注意です。

私自身の経験から痛切に感じているのですが、仕事人、特に勤め人にとって、単純なんだけど一番答えにくい質問は、
あなたは何ができますか?
という質問です。
ちなみに、あなたは答えられますか?
特に、会社の中でいろんな仕事を雑多にこなした人ほど、この問い掛けに対し明確に答えられないケースが多いのではないでしょうか。
また、同じ仕事を何十年やっていたにしても、その仕事に自信を持っていない人は同様にこの問いにうまく答えられないかもしれません。

「あなたは何ができますか?」
という質問が漠然とし過ぎているというのであれば、こういう質問はどうでしょうか?
今会社を辞めて独立するとしたら、あなたは何を商売にしますか?
一個人に戻ったとき、あなたが興味を持っていてやってみたいこと(現在やっていること)は何ですか?
この問いに対する回答を考えることからキャリアプランの設計が始まるんだと思います。




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この記事へのコメント

1. Posted by 高野秀敏   2005年04月09日 10:34

初コメントです。

確かに、「何ができるのか?」これは面接では必ず聞かれますね。

案外回答できなくて苦労される場合もあるようです。
2. Posted by なかなか難しいですね   2005年04月10日 03:23
初めまして。
関西在住・製造業のハンドルネーム岡田と申します。
何ができるかというのは難しいですね。
ヨロンさんはきっと頭の良いお方でしょうから上手くお話されるのでしょうね。
私も立派になりたいものです。ただ、理論武装しただけの口だけ人間にはなりたくないと日々考えています。
今後もヨロンさんのお考えを拝見させてください。
3. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年04月10日 11:38
高野さん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

コメントをいただきありがとうございます。
面接は場数を踏むことで慣れますが、「何ができるか?」への答え方はケースバイケースで変えるしかないですよね。
ここが応募者側の売り込みのポイントかもしれません。
4. Posted by ヨロン/竹内富雄   2005年04月10日 11:41
岡田さん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

コメントをいただきありがとうございます。
いえいえ、私は話し下手です。
ただ、いろいろ仕事を変えていく中で、自分なりの理論武装の必要性を感じています。
ぜひ、これからもいろんなご意見をお聞かせください。
よろしくお願いいたします。

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