心理学を勉強すれば人間心理がわかるか?仕事人は誰でもプライドがある

2004年12月28日

あなたのスタンスはどっち?

同僚がこんなことを言っていました。
俺がどれだけ苦労したか誰もわかっちゃくれない。俺が会社を辞める時は、他の誰にもノウハウなんか教えてやるもんか」と。
この同僚は口に出して言ったのですが、案外、会社を辞める人の中には、こういう考えを持ったまま辞める人もいるのではないでしょうか。
要するに、自分の働きぶりが、自分で思ったほど会社や周囲から評価されなかったので仕返しをするというわけです。

あなたは、この考え方についてどう思いますか?
そんな考えは子供じみていると冷静に受け止められるなら、あなたは立派な大人です。
何を隠そう、実は私自身もこういう子供じみたことをすることがあるのです。
その時は、心理的には被害者意識をかなり持っています。
また、自分こそは人一倍苦労していると過信しています。
仕事人としての本分をまっとうする姿勢ではなく、自分さえよければいいという自己中心的な姿勢になっちゃっているんでしょうね。


リストラされた中高年の言葉として、「こんなに会社のために尽くしたのに・・・」というのがあります。
よくよく考えてみたら、この言葉って変じゃありませんか?
なぜって、本当に会社のために尽くした人を会社はリストラするもんでしょうか。
その人が勝手にそう思い込んでいるだけで、会社側はその人の貢献を低く評価していたのではないでしょうか。
そんな気がしてなりません。

では、「会社のため」とはどういうことか考えてみましょう。
あなたは部下を持った中間管理職だったとします。
会社はあなたに何を期待していると思いますか?
たぶん、会社はあなたに、部下を指導し会社を発展させてくれる人材に育てることを望んでいるはずです。
いつあなたがいなくなっても、その仕事がうまく回るような仕組みを作ってくれることを期待しているはずです。
自分がいなくなることを前提にした仕事のやり方を寂しく思うこともあるかもしれませんが、逆に、それができる人材であれば会社は高く評価し、さらなる上のポストを用意してくれるのではないでしょうか。

自分がいついなくなっても、その仕事が誰かにスムーズに引き継がれるような仕事のやり方は、何も中間管理職ばかりでなく、仕事人であれば誰にでも求められていることです。
でなかったら、仕事の継続性がなくなりますものね。
継続性がなくなれば、ひいてはお客さんに迷惑をかけてしまう結果にもなりかねないし。
そういう意味でいえば、「会社のため」というのは、自分のノウハウやスキルをナレッジという会社の財産として残すことなのです。

たしかに、自分の仕事の成果物は会社の財産ではあるかもしれません。
しかし、例えば、自分だけでつくった自分だけしか知らないシステムや仕事のやり方を、誰にも教えず誰にも引き継がなければ、真の意味では「会社のため」に仕事をやったとはいえません。
逆に、そのせいで、会社が混乱し、結果的にお客さんに迷惑をかけるようなことにでもなったら、それはもはや会社のためではなく、むしろ会社に損害を与えてしまったとはいえないでしょうか。

私は、自分自身が人事異動の対象になったり、会社を辞めることになってしまった場合は、それを知った、あるいは決めた瞬間から、自分の業務知識や成果物を後任者に託すべくいろいろ手を打ちます。
引継ぎ事項を文書にしたり、業務マニュアルを作成したり、引継ぎ期間があれば伝授したり、予め業務を効率化したり、そんなことなどです。
これまでの経験では、周囲を見たかぎりですが、後任者のことを考えて手を打っている人をあまり知りません。
多くの人は、「他人のことなんかどうでもいいや」と思っているような感じでした。

自分のノウハウ、スキル、仕事などを全部手放してしまったらリストラされるので手放さないという考え方の人もいますが、私は、もしそれでリストラされるようなことがあってもしかたがないことだと思っています。
私の考え方の根底には、“仕事人が生き延びる道は、常に自分を磨き、自分にどんどん付加価値をつけていき、その付加価値を誰かに買ってもらうこと”というのがあります。
だから、自分がリストラされる時は、他人に買ってもらえる付加価値を生み出せなくなった時だと覚悟を決めているわけです。

とまぁ、ここまでは私の考え方を述べてきましたが、ここであらためて、あなたは私の同僚の言った言葉に対してどう思いますか?




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この記事へのコメント

1. Posted by ひろ   2004年12月29日 05:44
できればきちんと引継ぎたいと思っていますが、技術的に未熟で
なかなか暗黙知を形式知にできていないのが、現状です(^^;

ISOという制度は、普段から仕事を形式知に転換し、こういった引継ぎを
含めて、異なる人の間でうまく仕事をやり取りできるようにしようと
していると思います。

アウトソーシングも進む中、こういった仕事に含まれる暗黙知を
形式知に変えられる人というのは、その能力自体が高く評価される
ようになるだろうなと思っています。

ただ、この能力って、計測不能なのが難点です。(^^;
転職には不向きなスキルかもしれませんね。
2. Posted by ヨロン/竹内富雄   2004年12月30日 10:31
ひろさん、こんにちは。ヨロンです(^_^)。

おっしゃる通りですね。
暗黙知を形式知に変えるのは、とても難しいし、かなりのスキルも必要とされますね。
ISOもいい方法なのですが、ISOを進める時に気をつけなければならないのは、形式的なものになってしまわないようにすることです。
計測不能なスキルこそ、実は一番重要なスキルだったりするかもしれませんね。

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